職人から税理士へ。建設業に寄り添う仙台の税理士|鈴木健志税理士事務所

今回お話を伺ったのは、仙台市宮城野区に事務所を構え、建設業を中心に税務・会計や経営を支援する鈴木健志税理士事務所の代表、鈴木健志さんです。鈴木さんは、税理士になる前に建設現場で長年働いた経験を持ちます。現場で働く人の感覚と、税務・会計を扱う専門家の考え方。その両方を知っていることが、現在の仕事の土台になっています。この記事では、職人から税理士になるまでの歩みと、建設会社の経営者との対話で大切にしていること、会社の成長をどのように支えようとしているのかを伺います。

現場と会計・税務、両方の言葉を知る税理士

現在の事務所では、どのような相談を受けていますか?

仙台を拠点に、建設業のお客様を中心とした税務・会計の支援をしています。法人だけでなく、一人親方や個人事業主の方からも相談を受けています。確定申告や会計顧問だけではなく、会社設立、資金調達、経営計画、建設業許可など、事業を続けるうえで必要になる相談にも対応しています。

建設業では、工事の期間と入金・支払いの時期がずれることがあります。現金の動きだけを見ていると会社の状態をつかみにくく、工事ごとの売上や原価、利益を整理する必要もあります。だからこそ、数字だけではなく、工事や取引の中身まで理解することが欠かせません。

なぜ、建設業に力を入れた税理士事務所にしたのでしょうか?

独立するとき、税理士事務所は数が多いので、得意分野を明確にした方がいいと考えました。自分が経験してきた建設業であれば、現場の言葉も分かります。それに、会計事務所で働いてみて、建設会社の社長と税理士の間には、思っていた以上に会話のずれが起きやすいと感じたんです。

税理士側は「必要な資料がそろわない」「説明が伝わらない」と感じる。一方、建設会社の側は「難しい言葉ばかりで分からない」「結論だけ言われても納得できない」と感じていることがあります。どちらか一方が悪いわけではなく、仕事で使う言葉や経験してきた環境が違う。その間をつなげることが、鈴木さんの役割です。

「10年後の自分」を考え、現場から税理士へ

税理士を目指すまでの歩みを教えてください。

高校を約3カ月で辞めたあと、いくつかの仕事を経験しました。20歳頃に仙台へ移り、その後、茨城県の工場で働きました。リーマンショックの影響で工場の仕事がなくなったことをきっかけに、先輩から誘われて建設業に入ったんです。最初はやりたい仕事ではありませんでしたが、続けるうちに面白さを感じるようになりました。

仕事の考え方が変わったのも建設業でした。例えばブロックを積む仕事は、理屈だけなら「水平・垂直に積む」と単純に聞こえます。しかし、実際にきれいに仕上げ、作業を速くするには経験が必要です。最初は少ししかできなかったことが、繰り返すうちにできるようになる。鈴木さんは、建設現場で初めて「自分が成長している」という実感を持てたと振り返ります。

そこから、なぜ税理士を目指したのでしょうか?

一緒に働いていた年上の先輩が腰を痛め、「これからどうやって生きていけばいいか」と途方に暮れている姿を見たことがきっかけです。そのとき、「10年後、自分も同じ状況になるかもしれない」と考えました。建設業が嫌になったわけではありません。ただ、体を使う仕事以外にも選択肢を持たなければならないと思い、勉強を始めました。

簿記の試験に合格したことで手応えをつかみ、複数の資格や進路を調べたうえで税理士を選びます。昼は建設現場、夜は別の仕事、その合間に勉強する生活を続け、税理士試験に挑戦。途中で仙台の会計事務所へ転職し、実務と勉強を重ねて税理士資格を取得しました。

資格取得後、すぐに独立を考えたのですか?

最初は独立ではなく、勤務先でより大きな役割を担いたいと考えていました。代表に希望を伝えると、将来的に事業を引き継ぐ道や、担当していたお客様を基盤に仕事を始める道を提示してもらいました。本当にありがたい話でしたが、時間をかけて引き継ぐより、自分で組織をつくることに挑戦したいと考えたんです。

こうして、大きな顧客基盤を引き継がず、自分でお客様を増やす道を選びました。税理士として事業を始めるなら、まずは自分が暮らしてきた地域で。そう考え、仙台で鈴木健志税理士事務所を開きました。

決算書は「お客様との合作」

税理士を変えたいという方は、どのような不満を抱えていますか?

大きく分けると、コミュニケーション、費用に対する納得感、こちらの話を聞いてもらえないという不満です。上から目線に感じたという声もあります。ただ、相談を受けて、今の税理士の対応が間違っていないと思う場合には、まずその先生と一度きちんと話した方がいいと伝えています。

不満を抱えたまま税理士を変えても、話し合わなければ同じことが起きるかもしれません。現在の税理士へ困っていることを伝え、その対応を見てから判断する。鈴木さんは、自分の事務所へ移ってもらうことを先に考えるのではなく、経営者にとって納得できる選択かどうかを大切にしています。

お客様とのやり取りで意識していることはありますか?

まずはしっかりと、丁寧にレスポンスを返すことです。すぐに回答できる内容ばかりではありません。調べる時間が必要なら、「確認してから回答するので少しお時間ください」と、その日のうちに伝えればいい。何も連絡がないまま数日たつと、お客様は話が届いているのか分からず、不安になります。

もう一つ大切にしているのが、書類だけを見て対応を決めないことです。支払先はどこなのか、外注費なのか別の経費なのか、どのような取引だったのか。分からない部分は経営者に聞き、内容を確かめてから決算書や申告書をつくります。

「決算書や申告書は、お客様との合作だと思っています」と鈴木さん。数字を扱うのは税理士でも、その数字の背景を知っているのは経営者です。両者が話し合って初めて、会社の実態を反映した書類になります。税務上の判断についても「できる・できない」で終わらせず、その理由や考えられるリスクまで伝え、経営者が理解したうえで判断できるようにしています。

独立前と会社が伸びるときに、整えておきたいこと

これから独立する職人さんに、最初に整えてほしいことは何ですか?

まずは、請求書や領収書などの書類を整理する習慣です。現場の仕事が忙しいと、事務作業はどうしても後回しになりやすい。必要か分からない書類を捨ててしまうこともあります。ですが、あとから取引の内容を確認しようとしても、資料がなければ正しく整理できません。

そして、会社を長く続けていくには営業力も必要です。腕のよい職人であることと、継続して仕事を得ることは別の課題です。元請企業や取引先との関係づくり、紹介につながる信頼、仕事を知ってもらう方法など、売上をつくるための動きも経営の一部になります。

どのようなタイミングで税理士へ相談するとよいでしょうか?

独立や法人設立を考え始めたときは、一つのタイミングです。実際に手続きをする直前ではなく、検討している段階で相談してもらえれば、設立後の税金や資金繰りも含めて話ができます。また、売上が大きく伸びたとき、従業員が増えたとき、今の税理士とは税金の話しかできていないと感じたときも、相談先を見直すきっかけになります。

鈴木さん自身も、採用、人材育成、仕事の任せ方など、事務所を成長させる過程でさまざまな課題に向き合っています。そのため、税務の答えだけでなく、「会社をどう大きくするか」という経営者目線での話もできます。自分の経験を一方的に当てはめるのではなく、お互いの取り組みを共有しながら考える姿勢です。

仙台から、適切な支援を受けられる人を増やす

これから、どのような事務所をつくっていきたいですか?

自分一人で仕事を続けるのではなく、組織として対応できる範囲を広げていきたいです。税理士事務所は、仕事が増えても人を採用できなかったり、仕事を任せられなかったりすると、対応できるお客様の数に限界がきます。結果として、返事が遅くなるなど、十分なサービスを届けにくくなることもあります。

鈴木健志税理士事務所では、未経験者も含めて人を採用し、税務・会計の専門性だけでなく、仕事の進め方やマネジメントも学べる環境づくりを進めています。鈴木さんが重視するのは、現在の知識だけではなく、これから成長したいという姿勢です。自分自身も遅い時期から学び始めた経験があるからこそ、今の時点だけで人を判断しません。

事務所を大きくする先にあるのは、売上や人数だけではありません。相談したくても受けてもらえない経営者や、現在の支援に困っている人が、適切なサービスを受けられる状態を増やすこと。さらに将来は、業務を抱えているほかの税理士事務所を支え、それぞれの税理士が専門的な仕事へ集中できる仕組みづくりも考えています。

建設会社は、住宅、道路、修繕、災害時の復旧など、地域の暮らしを支える仕事を担っています。その会社が経営を続け、次の世代へ仕事をつないでいくには、現場の力だけでなく、数字や組織を整える力も必要です。鈴木さんが仙台から支援の受け皿を広げようとしている背景には、建設会社が本来の仕事に向き合える環境をつくりたいという考えがあります。

現場の言葉を、経営の数字につなげる

高校を辞め、建設現場を経験し、20代後半から勉強を始めた鈴木さん。現在は税理士として数字を扱っていますが、仕事の根底には、現場で培った感覚が残っています。

分からないことを難しい言葉のままにしない。書類だけで決めず、事業の中身を聞く。結論だけではなく、理由やリスクまで説明する。そうした対話を重ねることで、決算書や申告書を経営者と一緒につくっていきます。

独立、法人設立、売上の増加、人の採用。会社が変化するときには、新しい判断が必要になります。悩みを一人で抱え続けるのではなく、経験のある人へ早めに相談することも、経営を前へ進めるための選択肢です。

会社の成長に迷ったとき、経営の話ができる相手を

鈴木健志税理士事務所では、建設業を中心に、会計・税務顧問、起業・創業支援、個人確定申告、資金調達、経営計画などの相談に対応しています。これから独立を考えている方や、会社の売上・人員が増えて経営の進め方に迷っている方は、相談できる内容や流れを確認してみてください。

鈴木健志税理士事務所の基本情報

事務所名鈴木健志税理士事務所
代表鈴木 健志
所在地〒983-0867 宮城県仙台市宮城野区鉄砲町東4-6 榴ヶ岡ハイデンス501
主な業務会計・税務顧問、建設業許可取得、起業・創業支援、個人確定申告、資金調達・経営計画策定など
公式サイトhttps://tax-st.com/

この記事をシェアする

ページトップへ

LINEを開く バナーを消す