9月開催「ATERUI 2026」|東北の挑戦を「共同戦線」へつなぐ2日間

ATERUI 2026「共同戦線」9月3日・4日仙台開催のキービジュアル

「誰かの挑戦を、誰かの知恵が助ける。誰かの情熱を、あなたの応援が後押しする。」

東北で何かを始めようとすると、一人では越えられない場面があります。足りないのは、資金かもしれない。知識かもしれない。人とのつながりや、最初の仕事かもしれません。必要なものを別の誰かが持っていても、県や業種、世代が違えば、出会わないままです。ATERUI 2026のテーマは「共同戦線」。その距離を越え、人の力を結び直すための呼びかけです。

2026年9月3日(木)・4日(金)、仙台市で開かれるATERUI 2026には、東北の跡継ぎ経営者や起業家、地域企業、支援機関、学生、東北に関心を持つ人たちが集います。2025年の初開催には延べ522名が来場。今年は2日間・1,000名規模を目指します。

今回お話を伺ったのは、ATERUI 2026実行委員長であり、スパークル株式会社代表取締役の福留秀基さんです。なぜ今、東北に人が集まる場が必要なのか。初参加の人は、何をきっかけに会場へ足を運べばいいのか。2年目のATERUIに込めた考えと、会場で体験できることを聞きました。

「決起集会」から「共同戦線」へ

ATERUIの名前は、約1,200年前、仲間と結束して東北の地を守ったとされる阿弖流爲(アテルイ)に由来します。その姿を、現代の東北で人と人が手を組むイベントの原点にしています。受け継がれてきたものを壊すのではなく、今を生きる人の考えや技術を重ね、次の形へ広げていこうという考えです。

初開催となった2025年のテーマは「決起集会」でした。跡継ぎや起業家、地域企業など、東北で動き始めている人たちの存在を知ってもらい、まずは同じ場所に集まる。その呼びかけに延べ522名が応えました。

一方で、福留さんには残った課題もあったといいます。同じ会場には集まれても、名刺交換から先の相談や協業にまでは進めなかったこと。そして、情報が届いたのは、もともと地域や起業に強い関心を持つ人が中心だったことです。

そこで2026年は、一度集まって終わる「決起」から、立場を越えて動き続ける「共同戦線」へ。福留さんは、「挑戦する人だけでなく、応援する人、東北の外にいる人、関わり方がまだ分からない人も巻き込みたい」と話します。ここでいう戦線は、誰かと争うためのものではありません。人の知恵や仕事、信用を持ち寄り、新しいものをつくるためのつながりです。

県境や立場を越えて、東北の現在地を考える

東北で暮らしていても、隣の県でどんな事業が始まり、どんな人が動いているのかを知る機会は、意外と多くありません。秋田の取り組みを仙台の人が知らない。学生と地域企業が出会わない。跡継ぎとスタートアップが、互いの存在を知りながら話す場を持てない。福留さんが感じてきたのは、地域ごと、立場ごとに情報や人のつながりが分かれている現状でした。

人口の減少や若者の流出は、ひとつの会社や自治体だけで答えを出せる問題ではありません。だからこそATERUIでは、成功例だけを聞くのではなく、「10年後も東北にいたいと思える条件は何か」「地域で新しい産業をどう育てるか」といった、まだ答えの決まっていない問いを扱います。

登壇するのは、起業家や跡継ぎだけではありません。学生、大学の研究者、地域企業、行政、投資や事業支援に携わる人など、見ている景色の違う人たちが同じテーマを話します。福留さんが目指すのは、誰か一人の正解を持ち帰る場ではなく、自分の仕事や暮らしに引き寄せて考えられる場です。

聞くだけで終わらない、2日間のプログラム

Day1|「人」と「産業」の話を行き来する

9月3日(木)の会場は、地下鉄東西線・荒井駅近くのSENDAI GIGSです。会場では2つのステージが同時に進みます。ひとつは、跡継ぎ、起業家、学生など「人」に焦点を当てるUnity Session。もうひとつは、食と農、宇宙産業、アートとデザイン、地域企業の研究開発などを扱うInnovation Sessionです。

たとえば、現役学生が「10年後の東北に私たちが『いる』条件」を語るセッションでは、大人が若者の気持ちを代弁するのではなく、学生自身が東北に残ること、戻ること、外から関わることを考えます。東北の跡継ぎと起業家によるピッチでは、いま各地でどんな挑戦が始まっているのかを知ることができます。

ステージのほかには、企業や団体の展示ブース、参加者同士が話せるネットワーキングも用意されています。すべてのセッションを聞き続けなくても構いません。気になる話を聞き、ブースをのぞき、会場で出会った人と言葉を交わす。自分の関心に合わせて過ごせる一日です。

Day2|会場の外へ出て、自分の考えを言葉にする

9月4日(金)は、六丁の目のイノベーション交流拠点「Communication Design Laboratory MEDIUM」が舞台です。MEDIUMに研究拠点を置く事業者のプレゼンテーションやウェットラボの見学、ネイチャーポジティブを入り口に、地域や自然との関係を考えるワークショップなどが予定されています。

さらに、震災遺構や仙台市沿岸部を訪ねるフィールドワークプログラムも企画されています。会議室の中だけで未来を語るのではなく、その土地で何が起き、その後どんな仕事や暮らしが築かれてきたのかを見る。1日目に得た情報を、2日目に自分の言葉や行動へ移していく構成です。

一部のツアーや企画は、イベント参加チケットとは別に申し込みが必要です。内容や受付状況は更新されるため、参加前に公式サイトで最新情報を確認してください。

「自分には関係ない」と思う人にも、入口はある

プログラムを見ると、宇宙産業、スタートアップ、R&Dといった言葉が並びます。普段その分野に関わっていない人が、少し身構えてしまうのも無理はありません。福留さん自身も、関心がまったくない人にまで無理に参加を勧めたいわけではないと話します。

そのうえで、「東北のすごい人の話を聞いてみたい」「地元で働くことを考えたい」「家業を継ぐか迷っている」「いつか東北と仕事で関わりたい」と思うなら、十分に入口はあります。起業する予定がなくても、専門知識がなくても、話を聞いたあとに自分はどう感じたかを考えるところから参加できます。

チケットは、一般、学生、跡継ぎ・起業家、投資家や企業の新規事業担当者など、立場に応じて分かれています。途中入場・途中退出も可能です。最初から2日間のすべてを理解しようとせず、自分が気になるセッションや人をひとつ決めておくと、初参加でも会場に入りやすくなります。

名刺の数より、あとで頼れる一人と出会う

福留さんがATERUIでつくりたいのは、その日だけの名刺交換会ではありません。困ったとき、何かを始めたいときに、「あの人に聞いてみよう」と思い出せる相手と出会う場所です。

その背景には、福留さん自身の体験があります。以前、東北の外で開かれた大規模なビジネスイベントに参加したとき、知り合いが少ないなかで人に声をかけ、紹介を重ねてもらうことで、ようやく会話が広がっていったそうです。そこで感じたのは、情報を得る前に、まず話せる人がいることの大きさでした。

「目の前にいる人に、『どうしてATERUIに来たんですか』『東北とどんな縁があるんですか』と聞いてみてほしいんです」

登壇者も、経営者も、学生も、会場に来た理由はそれぞれ違います。ただ、東北に何かしらの関心があることは共通しています。肩書きを見て遠慮するより、同じ場に来た一人として話してみる。その短い会話が、あとで相談できる関係や、新しい仕事の入口になるかもしれません。

東北の次の動きを、一日限りで終わらせない

ATERUIは、仙台だけのイベントを目指しているわけではありません。福留さんは将来、東北各地で開催することも視野に入れています。ある地域で生まれた話題を別の地域へ運び、次はその土地の人が企画側に加わる。そうして、東北のなかに点在する動きを少しずつつないでいきたいと考えています。

大切にしているのは、過去をそのまま残すことでも、新しいものに総入れ替えすることでもありません。地域に受け継がれてきた仕事や文化を知る人と、新しい技術や発想を持つ人が一緒に考え、今の時代に合う形へ広げていくこと。「伝統を、拡張せよ。」という言葉は、イベントの演出ではなく、運営のあり方にも重なっています。

2025年に上がった「決起」の熱を、一度きりの思い出にしない。企画する側と参加する側を固定せず、次のATERUIを一緒につくる人を増やしていく。それが、2026年の「共同戦線」の先に福留さんが描いている姿です。

東北の人口や産業の課題は、ひとつのイベントで解決するものではありません。ATERUIも、会場に行けばすぐ仕事が生まれる、進む道が決まると約束する場ではありません。

それでも、別の県で動く人を知ること、同世代の本音を聞くこと、これまで接点のなかった人と一度話してみることはできます。自分のなかに相談先がひとつ増えれば、次に動きたいときの選択肢も増えます。ATERUI 2026は、その最初の会話を始めるための2日間です。

東北できっかけを探しているなら、まず会場をのぞいてみる

「何かしたい」と言えるほど考えが固まっていなくても、気になるテーマや会ってみたい人が一人いれば、参加するきっかけになります。セッション、展示ブース、ワークショップ、沿岸部でのフィールドワークなど、過ごし方はひとつではありません。

プログラムや登壇者、チケットの受付状況は今後も更新されます。興味のある方は公式サイトで最新情報を確認し、自分なりの入口を探してみてください。

ATERUI 2026の基本情報

イベント名ATERUI 2026
日時Day1:2026年9月3日(木)9:00〜19:30
Day2:2026年9月4日(金)10:00〜20:00
※入退場自由
会場Day1:SENDAI GIGS
Day2:Communication Design Laboratory MEDIUM
主催ATERUI 2026実行委員会
主な対象跡継ぎ、起業家、経営者、投資家、企業の新規事業担当者、学生、一般来場者など
公式サイトhttps://aterui.world/

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